データ複製操作について
「複製セットの詳細」ページまたは「整合性グループの詳細」ページでは、次のいずれかのデータ複製操作を選択できます。
- 再開。次の 2 つのオプションがあります。
- 通常同期 - 一次ボリュームと二次ボリュームの差をコピーします。同期では一次ボリュームから二次ボリュームへの同時複製も可能なため、一次ボリュームへの新規書き込み動作も二次ボリュームに複製されます。同期が完了すると、ボリュームは互いに書き込み順序に整合性のある状態になります。
- 完全同期 - 同期動作に最も時間のかかる、完全なボリューム対ボリュームのコピー動作です。多くの場合、二次ボリュームがソースの一次ボリュームから同期されます。通常、完全同期が実行されるのは、障害で複製セットが損傷しているか、データ整合性に疑問がある場合のみです。
- 再開操作を開始する前に、以下のことを考慮してください。
- 二次の役割では、複製セットまたは整合性グループの再開操作を開始できません。
- 再開操作を開始すると、ボリュームの同期が開始されるため、複製リンクで大量の入出力が発生することがあります。帯域幅に影響がないことを確認してください。たとえば、帯域幅に制限のあるリンクで新しい複製セットを作成しないでください。
- 複製操作によって、同期の進捗状況の追跡ができるジョブが作成されます。ジョブの進捗状況の追跡と、その動作の履歴の保存は、「ジョブのサマリ」ページで行えます。「複製セットの概要」ページの「複製の進捗状況」フィールドおよび各複製セットの詳細ページでも、同期の進捗状況が報告されます。ただし、「複製の進捗状況」よりも「ジョブのサマリ」ページの方が、より頻繁にジョブの進捗状況が更新されます。したがって、「ジョブのサマリ」ページでは、「複製の進捗状況」フィールドの報告内容よりも同期の進捗状況が進んでいる場合があります。
- 注 : ジョブが早く完了した場合、「ジョブの詳細」ページでは同期ジョブが開始されたことを報告しているが、ページバナーにはそのジョブが実行中のジョブとして表示されないという場合があります。「過去のジョブの概要」には完了したジョブの一覧が表示されます。
- 中断。次の 2 つのオプションがあります。
- 通常 - 複製または同期を停止する動作です。中断モードでは、一次ピアの複製ビットマップのみが更新されます。複製は行われません。動作が完了したり、リンクが再確立されるなどした時点で、自動同期オプションまたは手動でボリュームが同期されます。一次ピアおよび二次ピアの複製ビットマップが比較され、一次ピアボリュームで変更されたブロックが二次ボリュームにコピーされます。ボリュームが同期されたあと、再び複製が開始されます。
- 高速開始 - バックアップテープを使用して、初期同期を手動で実行していることを知らせるための動作です。バックアップテープを作成する前に一次ピアで「高速開始」オプションを開始し、バックアップテープの復元後に二次ピアで「高速開始」オプションを開始します。
- 注 : 高速開始モードに設定してから同期動作を開始する準備を整えた場合は、同期動作を手動で実行する必要があります。不適切なタイミングで同期が行われないようにするため、同期操作は自動的に実行されないようになっています。
- ネットワークの応答時間に問題がある場合は、ソースまたは一次ボリュームを一方のサイトで磁気テープにバックアップしてから、もう一方のサイトでテープからボリュームを復元することで、初期同期を実行できます。バックアップコピーは論理コピー (たとえば、
tar
(1M) または cpio
(1M) コマンドで作成したもの) ではなく、必ず物理コピー (たとえば、dd
(1M) コマンドを使用して作成したもの) にしてください。コピーはファイルが同一なだけでなく、ブロックも同一になっている必要があります。 - 注 : 複製セットまたは整合性グループがすでに中断モードになっている場合は、通常の中断オプションを使用できず、高速開始オプションのみを選択できます。
- 次のように、中断オプションを使用します。
- 中断操作の高速開始オプションを使用すると、新しいサイトでデータコピーをセットアップするときのデータ複製の入出力トラフィックを最小にできます。ユーザーデータのコピーが格納されたバックアップテープを運び、バックアップテープをリモートシステムで直接読み込むことで、リモートピアを初期化できます。大量のユーザーデータがある場合にこのオプションが便利かどうかは、ピアリンクのコストに関係し、あるいはピアリンクの速度に関係しています。
- 中断オプションを使用すると、通信または接続のコストを節約できます。ただし、データ損失のコストというリスクがあります。一次ピアが失われると、一次ピアに書き込まれたデータが二次ピアに存在しなくなります。
整合性グループに変更を加えた場合や、ネットワークリンクに障害が発生した場合など、計画的または計画外の理由から、複製セットが中断モードになることがあります。中断モードからデータ複製が再開されると、次のようになります。
- 中断モードの間は、物理接続が存在している可能性があります。ただし、通信は行われず、2 つのピア間でのデータ複製が行われません。
- 同期が開始されると、2 つのピア間で通信が行われますが、書き込み順序の整合性は復元されません。
- ピアが同期されると、2 つのピア間で通信が行われ、書き込み順序の整合性が復元されます。複製モードが同期の場合、遅延時間が発生しますが、データは一定の順序で書き込まれます。
関連項目