ミラーリングについて
ミラーリングはストレージの 1 つの形態で、データの複数のコピーが別のメディア上に保持されます。RAID レベル 1 およびリアルタイムコピーとも呼ばれ、代表的なミラーリング技術ではデータセットのクローン作成が可能で、システムの冗長性が得られます。
Sun StorEdge 6920 システムは、業界標準を上回る、独立にアクセス可能な最大 4 つの等価なミラーコンポーネントを備えたミラーを作成および操作することができます。また、ミラー内部のいずれかのミラーコンポーネントに対して各種の操作を行うことによって、ミラーのデータセットの独立したコピーをそれぞれ更新することができます。
Sun StorEdge 6920 システムは、データセットの変更の追跡、データセットの更新、およびデータ移行方式の管理のために使用できるミラーコンポーネントで構成された特殊なタイプのボリュームとしてミラーを取り扱います。
ミラーは、定期的に (再同期化プロセスによって) 同期して同じデータセットを反映する、等価で独立したミラーコンポーネントから構成されます。作成した最初のミラー化ボリューム (元のボリュームあるいは一次コンポーネントとも呼ばれる) によって、追加するミラーコンポーネントにコピーされるミラーの初期データセットが作成されますが、ミラーコンポーネントに対して実行する各種の操作がミラー全体に影響を及ぼします。いずれかのミラーコンポーネントを使用して、ある時点でのデータの状態とすることも、ミラーのデータセットを更新することも、データ冗長性保護を行うこともできます。
注 : ミラーでは、ミラー構築のために作成した最初のミラー化ボリュームの WWN (ワールドワイドネーム) が前提となっています。ミラーに追加した既存のボリュームは、作成した最初のミラー化ボリュームの WWN を保持します。
ミラー化は、データ移行方式の重要な一部です。旧式ストレージから通常のストレージへデータを移行する場合を考えます。旧式ボリュームのデータを通常のボリュームへミラーリングし、その間もシステムは旧式ボリュームへのアクセスを継続することができます。ミラーリングが完了すると、ミラーコンポーネントは再同期化されて 、新しいミラー化ボリューム上の独立したコピーの 1 つとして旧式データも残ります。新しいミラー化ボリューム上のデータにアクセスできるため、旧式ボリュームを削除することもできます。
ミラー内のミラーコンポーネントに対しては、次の操作を実行できます。
- 分割 - ミラーコンポーネントをミラーから分離し、あとから再結合できます。分割ミラーコンポーネントは、引き続きミラー内の他のコンポーネントとの関連付けを追跡および維持されるため、ミラー 1 つ当たり 4 つのミラーコンポーネントという制限数に含まれます。分割ミラーコンポーネントを使用して、分割時点でのデータの状態を作成できます。ミラーコンポーネントは同じデータセットの独立したコピーであるため、分割ミラーコンポーネントによって、スナップショットとは異なり、スナップショットリザーブ空間に依存しないデータの状態が得られます。
- 再結合 - 分割ミラーコンポーネントを結合して、ミラーに戻すことができます。再同期化が直ちに開始され、以前に分割されたミラーコンポーネントがミラーの他の部分と (一致するよう同期化され) 同一になります。
- 逆再結合 - 分割ミラーコンポーネントのデータをミラー全体の基礎として使用する場合は、その分割ミラーコンポーネントに対して逆再結合操作を実行できます。その結果、ミラー内の各ミラーコンポーネントが、以前分割されたミラーコンポーネントと同一になり、ミラー内にあるデータセットは、以前分割されたミラーコンポーネントと一致します。
- 切断 - ミラーコンポーネントをミラーから削除し、他のミラーコンポーネントとの関連付けを無効にできます。切断されたミラーコンポーネントはシステムのスタンドアロンボリュームとなり、他のミラーコンポーネントとの同期化は維持されなくなります。
- ミラーコンポーネントを切断する目的は、ミラーが有効なまま既存のボリュームの独立したコピーを作成し、特定の時点でのデータの状態として保存することです。
- 注 : 以前に切断されたミラーコンポーネントをミラーに追加する場合は、通常のボリュームとして追加します。これは分割操作と異なります。その理由は、分割操作では分割ミラーコンポーネントのデータに対するすべての変更は追跡され、分割コンポーネントと他のミラーコンポーネントとの関係は維持されるからです。通常、ミラーコンポーネントを切断するのはそれをミラーから削除する場合で、ミラーコンポーネントを分割するのは分割したあとで再結合する予定がある場合です。
- 注 : ミラーの最後のコンポーネントを切断すると、そのミラーと同じ名前を持つミラー化されていないボリュームになります。それまでのミラーコンポーネントの名前は使用されなくなります。
- 強制切断 - 強制切断操作を実行すると、100% の再同期化が行われていないためにミラー内の他のコンポーネントと同期がとれていないミラーコンポーネントを削除できます。
- ミラーコンポーネントのデータが (火災などの災害の際に) 損傷を受け、データの完全性が失われた場合は、実行済みの再同期化の比率に関係なくミラーコンポーネントの切断を強制的に行い、ミラーのデータの完全性を保護することができます。切断操作を行った場合と同様に、強制切断を実施したミラーコンポーネントはシステム内のスタンドアロンボリュームになりますが、そのデータの状態は機能縮退となり、再同期化中のミラーからの削除後はアクセス不能になります。
関連項目